ASKAさんのこと

本当は別のことを書きたかったしその用意をしていたのだけれど、今回のことがあって、少なからず動揺もあったし、なかなか書くことができずにいた。

私は小学生のころから彼の大ファンだった。おそらく一番ピークのころのリアルタイムでファンになった(親兄弟の影響などではない)最年少世代にあたる。だから、私の年上好きは彼に端を発していると思う。そして大人になってからは、あのレベルの歌の価値が分かった当時の自分を本当にほめてあげたいと思うくらい、その歌唱力は本当にすごいものだということに気づかされたのである。1回目の逮捕直前のソロツアーは、何か所も見に行ったけど、その度に毎回ひどく感動して、これぞ歌手だなぁと毎回思っていた。

今回自分の気持ちをどう表すべきか悩んだ。だけど結局、1回目の逮捕の時と気持ちは変わらない。というか、実はそれ以前から私の気持ちは変わっていなかったことに気づいて、やっと書こうと思った。これはあくまで私の気持ちであって、彼のことを擁護しているとか、犯罪であることを認めていないとかそういうことではないことを前置きしておく。彼がやったことが真実なのであれば当然罪を償って治療をするべきだと思っている。それから、話題になっているプライバシーとか著作権とかの問題についてもここでは別としておく。

 

私はずーーーっと前から、「あんなロマンチックな歌詞、常に愛人が2・3人、いや10人くらいいないと、とても書けないよ」と思っていたし、それで良い曲ができてあの声でそしてあの歌唱力で歌うのを聞かせてもらえるのなら、私には何の問題もなかった。ただ素晴らしい曲を聞かせてくれてありがとうと思うだけ。私が耳にする楽曲の外側で何か問題があってもなくても、私には一切関係ない。ただ私は彼の曲が聞きたい。それだけだった。だから、1回目の逮捕の時も正直そんなに驚かなかった。いや、もちろん驚いたし、当然やったことは悪いことだし、活動できなくなるのはとても残念だったけど、なぜか納得したというか、なんだか腑に落ちた気がした。彼は常にファンの前では清廉潔白な、真面目くさった、おちゃめだけれど優等生キャラで、そんなことするような人には到底思えなかったけど、やっぱりあれだけの曲を書くにはいろいろ犠牲にしなきゃならなかったんだな。毎年毎年リリースやツアーのスケジュールに追われて、スタッフの面倒も見ないといけないから、相当のストレスがあったはず。これまで大変だったろうな。そんな感想だった。愛人がいたことにはもちろん何の驚きもなかった。「だろうね、じゃないとあんなの書けないもの」程度に思っていたし、むしろ少ないくらいだと今でも思っている。でもファンのなかには、「信じていたのに、そんなことをしていたなんてショック」とか、「薬をやりながら書いた曲なんてもう聞きたくない」という人もいる。気持ちはわからなくもないが、でも、その曲を発表当時に聞いてそれを素晴らしいとか良いなぁとか、好きだなぁと感じたのはあくまで自分なのであって、それがいったいどういう状態で作られたものかなんて、果たして関係があったのだろうか。例えば、タバコを吸いながら曲を作っていたか、それとも、コーヒーを飲みながら作っていたか、風邪をひきながらも作っていたか、一人きりで作っていたか、楽しい気分で作っていたか、締め切りに追われ苦しみながら作っていたか、そして、薬をやりながら作っていたか…。私たちが曲を聞いたとき、素敵だなと思ったときには、そんなことは微塵にも考えていなかったし、たとえどうであってもそんなことは決して影響していなかったと思う。どのような状態で作られたかなんて、本当に関係ない。目の前に曲があって、それを聞いて、”私は”すてきだと思った。それだけが真実なのではないだろうか。

私がショックを受けたこと、悲しかったことは、ただ一つで、それは、彼が予告していた新曲、新アルバムが、今回のことでしばらく延期になりそうなことだ。私は、彼がどんな状態で作った曲であっても、それを聞いた自分がどう評価するかをとても楽しみにしている。その意味で、これまで彼に裏切られたことは、一度もないのだ。